出展日本庭園の概要

銀賞を受賞した日本庭園はどのような作りだったのでしょうか。

日本庭園には様々な様式がありますが、本博覧会で採用されたのは、日本の伝統的な造園技術の粋を集めた「枯山水」の様式です。枯山水とは、水を一切用いずに、岩や砂などで山、川などの自然の光景を表現する様式です。京都の龍安寺の石庭が、世界文化遺産にも登録されており有名ですね。華やかではないものの、禅のわび・さびを静かに体験できる、日本らしさを世界にアピールするのに適した様式と言えます。加えて、水の使用を抑えられるため、維持管理がしやすいという利点もあります。

テーマは「日本の自然風景とトルコの友好関係」。

日本の自然風景としては、岩を、流れ落ちる滝に見立てた「龍門瀑」を中心に据え、緑深い木々で山々を、白砂や石橋、灯篭などで、山から里を経て、川が海へ流れていく風景を表しています。

海の部分で表されているのは、エルトゥールル号事件の現場である和歌山県串本町の風景です。

エルトゥールル号事件とは、明治23年にオスマン帝国の軍艦が暴風雨によって難破し、500名もの死者を出した事件です。わずかな生存者が流れ着いた村では、自分たちの貧しい環境にも関わらず村民が総出で献身的な救助を行い、その後は日本政府などの支援もあり69名が帰国することができました。この話はのちにトルコの教科書に掲載されたこともあるほか、近年では映画化もされ、両国の深い友好の礎として語られています。

また、庭園では、トルコの地形も表現されました。白砂を地中海に見立ててアンタルヤ、ボスポラス海峡に見立て、海峡を挟んでヨーロッパとアジア2つの顔を持つイスタンブールが表されました。

日本庭園出展の目的

  • 日本庭園出展の目的

日本庭園の整備及び運営を通じ、トルコ及び中東地域をはじめ世界に向けた日本の優れた造園緑化技術を海外へ紹介していきます。

  • 日本庭園出展の目的

トルコ共和国と我が国は、長い友好の歴史を有するとともに、近年は首脳レベルの交流も緊密で、経済・文化交流促進の気運も高まっている。代表的な日本文化の一つである日本庭園の出展を通じて、日本文化の紹介を行い、両国の一層の良好な関係構築に貢献します。

  • 日本庭園出展の目的

トルコ共和国は、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」及び2004年に静岡で開催された「しずおか国際園芸博覧会『パシフィックフローラ2004』」に庭園を出展しており、その答礼として今回の出展を行います。

日本庭園イメージ

  1. 主景を構成する龍門瀑主景を構成する龍門瀑
  2. 白砂敷と外周壁(日壁)白砂敷と外周壁(日壁)
  3. 庭園活用イメージ庭園活用イメージ
  4. 飛石と竹垣飛石と竹垣
  5. 岬灯篭と役石岬灯篭と役石
  6. 石敷と枯山水石敷と枯山水
  7. 松明垣松明垣
  8. 侘びを表現する蹲踞侘びを表現する蹲踞

日本庭園設計説明

出展日本庭園は、基本的には枯山水の平庭とし、庭園南西(左手)側には主景を構成する龍門瀑を配し、そこから流れ出る川と内海、さらには外洋を、白砂敷と植栽により表現している。

庭園北側の入口部分の、松明垣や竹柵といった垣に囲まれ視界がさえぎられた通路を抜けると、眼前には、茶の湯の発達とともに露地庭で形式化し、桃山時代以降の庭園に好んで用いられた、蹲踞と鉢明かりの石灯籠といった添景物によって、庭園に詫びた趣を与え、自然の風景を象徴的に表した空間が広がる。

さらに先へ進むと庭園の主景である龍門瀑が目に飛び込んでくる。龍門瀑の背景及び周辺は、常緑樹を中心とする高木、灌木の密な植栽を施した築山とし、これにより深山幽谷の趣を表現する。龍門瀑の前面には石橋などを配することにより里の風景を演出するとともに、深山幽谷から流れ出てくる川が内海へと注いでいく情景を、白砂敷と州浜、添景物(岬灯篭等)により醸し出す。海象風景については、日トルコの友好関係を語る上で欠かすことのできない「エルトゥールル号事件」の現場(和歌山県串本町樫野崎)を表現する。

亭舎東側へ歩みを進めると、内海から外洋にかけての風景を、起伏のある芝生地を大海に浮かぶ島々に、白砂敷を海洋面に、それぞれ見立てて表現した空間が広がる。亭舎南側の草地においては、トルコの草花を散りばめ、トルコの植生の華やかさを印象付けつつ、出口へと誘導する。

また、芝生地及び白砂敷の形状については、イスタンブール周辺の地形をモチーフとして構成する。

主景を中心とした庭園西側の外周は、白壁を三方に配置し、外部と遮断された空間ということを主張する一方で、東側の外周は、潅木の植栽等により来訪者の侵入を抑止する程度とし、外部への広がりを意識させる。